山口県宇部市屋根瓦を専門に幅広いラインナップの商品を取り扱っております。またユーロベスト、ポーセレムなどの自社開発商品も取り揃えております。屋根瓦のご相談、工事は株式会社コトガワへ。


 







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石綿含有屋根材は、その使用条件から強度を必要とする為に石綿を多量に含有している。釘1本を引き抜くと多い時は数万本単位の飛散石綿が発生する。

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湿潤化の為に留付釘部に水を散布しても屋根材の性質上屋根材内部への浸透は殆どない。その為に湿潤化してもやはり、1本の釘引抜き作業で数千本から数万本の飛散石綿が発生する。  その発生する飛散石綿の多くは作業者の呼吸部位に達する。その為に、作業者の将来の健康を害する恐れがある。又、屋根の構造上、葺き上げた状態で散水すれば、屋根瓦の留付釘部の湿潤化はできないので、この様な状態での湿潤化作業は有効的ではない。

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湿潤化によって、汚れた屋根材上は極端に滑り易くなっており、条件によっては霧吹きで掛けた程度のほんの僅かな水でも乾いた時の約1/80まで摩擦力が低下する事がある。作業者は、湿潤化によって転倒・屋根からの墜落と石綿被曝の2重の危険に晒される事になる。

4 「シールドサクション工法」は、飛散石綿発生の大半の要因を占める釘引抜き作業時に、高速の空気流で釘と共に石綿を吸引して作業者の石綿被曝を防ぐ。

この工法は、「石綿作業主任者講習修了者」や「石綿特別教育修了者」であって、「シールドサクション工法講習」を受講修了して作業をするのが望ましい。

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作業に必要な機器、工具等は、第48回 全国建設業労働災害防止大会で平成23年度「顕彰基金による顕彰作品」に選定された機器、工具と同等以上の品質・性能を有する物を使用すれば、作業域内外の石綿粉塵の飛散を防止する事ができる。

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本工法の機器、工具の全体図



※使用している釘抜きは、飛散石綿の発生を約1/4に軽減し、又、釘の引抜き力を少なくする形状をしている。





平成19年8月8日付で厚生労働省より都道府県の労働局、労働基準監督署に配布されました。
「安全な石綿飛散防止工法開発」研究開発成果書及び、「シールドサクション工法」の作業基準及び手順を、表紙、他一部抜粋を平成22年5月15日付(第4版)より掲載致します。

研究開発成果書(表紙) 作業基準及び手順(表紙)




研究開発成果書及び 作業基準及び手順より


シールドルーム内に 5-6-1図の様に石綿含有屋根材の含水率を各工法ともほぼ同等にしてセットした。

実証試験に使用した石綿含有屋根材より石綿含有量約2倍(15%)の屋根材を使用し、床面積は約1/2(上部開口も約1/2)、壁高さは約2倍の実証試験時とほぼ同体積の空間内において、非塗装面に均等間隔に打ち込まれた 265本の釘引抜試験を行い、その時の空間内の石綿濃度を各工法 (通常工法、湿潤化工法、シールドサクション工法)間 で比較する。但し、釘抜き速度は実証試験より20~30%速く設定している。

測定は、ブランク試験(KT-000)に従って、ブランク、作業時とも行なった。湿潤化工法では、試験直前に水を約250cc/㎡噴霧した。





作業基準及び手順より


屋内の作業前ブランク値に差がでているが、全て、敷地境界基準値以下であり、当シールドサクション工法の時が最も高く、不利な条件であった。
シールドルームでの前準備等の影響がでていると考えられる。

通常工法では、最もブランク値が低いにもかかわらず、ルーム内濃度は高く、作業者呼吸部位も基準値を越えた。

湿潤化工法では、作業者呼吸部位は基準値を越えた。作業者には保護マスク着用が必要になる。

シールドサクション工法では、ブランク値が最も高かったにもかかわらず、作業中に若干作業時測定値は低下した他の工法では上昇したのと対象的である。

作業者呼吸部位は、ブランク値より低く、実証試験時と同様の結果となった。これは、サクション工具の吸込気流が上方より供給され、作業者は常に清浄な空気内にいた可能性が高い。

又、飛散石綿は煙草等の煙粒子とほぼ同じ大きさとされているが、比重がかなり重くルーム内の測定点より下部での濃度が高いものと推定される。 
湿潤化工法時は、試験スペースの関係より、屋根材を突き詰めて設置した。

その為に、湿潤化時の水が瓦の裏にまでまわり込み、釘の下部が濡れた事により、飛散石綿濃度は少し下がった可能性がある。

シールドサクション工法は実証試験においても、屋内試験においても、敷地境界基準を十分に満足している。

 




研究開発成果書
【実証試験

シールドサクション工法の実証試験を無散水で実施した。真夏の炎天下でほぼ無風状態という石綿飛散にとって、厳しい条件下であった。

(4-3-1)図、(4-3-2)図、(4-3-3)図、(4-3-4)図、 (4-3-5)図、(4-3-6)図、(4-3-7)図、(4-3-8)図、初期条件を測定後、ブランク試験を行った。

石綿繊維数は ND(0.2)(f/L) であった。測定点は北、東、南、西、4ケ所。

シールドサクション工具による撤去作業に入り同様に上記4ケ所及び、作業者呼吸部位を測定した。
(4-3-9)図、(4-3-10)図、(4-3-11)図、(4-3-12)図、この時も、各4点の石綿繊維量数はND(0.4)(f/L)で作業者の呼吸部位もND(0)(f/L)であった。

フィルタ交換はやはりND(2.2)(f/L)であったが、他の作業より少し多く検出された。作業者が回収フィルタをビニール袋に入れる前に折りたたんだ時フィルタ孔よりいくらか石綿が飛散したと考えられる。

マニュアルには、折りたたまず袋に入れる指示をしなければならない。
(4-3-13)図、(4-3-14)図、(4-3-15)図、(4-3-16)図、屋根材の含水率は事前にチェックし、更にブランク時、作業中、釘穴位置、単体と測定し貴重なデータを収集した。

同一日の同一屋根上でも位置による差が大きい。又、一枚の屋根材でも思った以上の差が出ている。(4-3-17)図、(4-3-18)図。得られた掃除機内粉塵、サクション工具吸い込み粉塵、屋根材カット片より、電顕写真や定量、定性分析、吸込粉塵総量や粒度配列等の試験が実施でき、更にサクション工具の更なる改良点、作業法の改良点が判明した。
(4-3-19)図、(4-3-20)図。




研究開発成果書より


4-3-1 4-3-2 4-3-3
4-3-4 4-3-5 4-3-6
4-3-7 4-3-8 4-3-9
4-3-10 4-3-11 4-3-12
4-3-13 4-3-14 4-3-15

 




研究開発成果書より




研究開発成果書より

S面
N面
4-3-16図


4-3-17図 4-3-18図 4-3-19図

 




研究開発成果書より

1-2.結果一覧表
4-3-20図

 




研究開発成果書より


3、水分による屋根材上での滑落危険性について

今回実験用に入手した解体時に保存してあった屋根材(K社製)及び実証試験で確認試験用に確保した屋根材(M社製)共に約30年位経過していた。屋根材には補修用に再塗装が施されていた。塗膜はヒビ割れ等はあるが、厚い状態であった。

この屋根材(M社製)を用いて、屋根作業用の靴(左右)に 67.3kg重、32.3kg重、2.3kg重の荷重を垂直方向にかけ、勾配は 0°、2寸(11.3°)、3寸(16.7°)、4寸(21.8°)とし、引張力を勾配接線方向で下向きに増加してゆき、最大静止摩擦力を屋根上の条件(絶乾、清水湿潤、微粉体、汚濁水)と変えて測定した。
(3-1)図、(3-2)図、(3-3)図、(3-4)図、(3-5)図。

微粉体、汚濁水は建設現場に最も多い真砂土より微粒分(JIS標準 0.15mm通過)を抽出し、微粉体はそのまま、汚濁水は清水で10倍希釈(重量比)して、清水時と同じ条件で使用した。

その結果、(3-1 )表に示す様に、粉体や汚濁水では急激な摩擦力低下が発生する。特に軽荷重において著しい。これは、最初の1歩目で体重がかかってない時に滑りやすく、バランスを崩して落下するケースを非常によく表していると考えられる。

しかも、緩い勾配でも低下することをデータが示している。これは注目すべき内容である。
屋根上での水の散布はわずかでも非常に危険なことである。

3-1表

研究開発成果書より

3-1図 3-2図 3-3図 3-4図



3-5図

条件によっては、霧吹きで掛けた程度のほんの僅かな水でも乾いた時の約1/80まで摩擦力が低下する事がある。(参照:3-1表)

標準的な屋根は4寸勾配である。4寸勾配試験台上で屋根職人の靴上に62.3㎏Wの荷重を掛けた時、乾燥状態で156.8Nの静止摩擦力が試験用微紛体を湿潤した時1.96Nまで静止摩擦力が低下した。




研究開発成果書より



「安全な石綿飛散防止工法の開発」の目標に対して、種々の試験(予備、基礎(A、B、C)、実証、確認、補足 他)や多くの試作を行ない、都度改善、改良を加えてきた。

その結果、基本的問題点はほぼ解決されて、性能も当初考えていたより以上になっている。

今後は、実施設計によるコスト積算と実例を積み重ねによる更なる改良を行なう段階に入ったと考えられる。

この工法の真意を確実に作業者に伝える為にマニュアル作成と偽物の工法防止等についても検討を早急にする必要がある。以下に工法や、工具、性能概略を記す。

 




研究開発成果書より


予備、基礎実験を通して、飛散石綿発生の大半は屋根材の組織破壊時に起こる事、又、勾配屋根の上での作業である点、更に屋外で種々の気象条件下におかれる事、特に風については、通常平均風速5m/sec程度でも局所的には10m/sec以上になる事、 炎天下で熱中症の発生など多くの問題点をクリアしなくてはならない。

本「シールドサクション工法」では、最大の特長は、A)発塵ポイント極近傍に空気吸入口が設けられている点でしかもその B)吸入口は作業時間中全く狭くなったり、閉じられる事がない為に常に同じ効果が期待できる事、更に釘が抜かれる時も C)常に屋根材から引き抜かれる発塵ポイントに吸入口は向けられ、同時に固定釘も吸入する D)釘は2m程度に設けられたトラップボックスに分離収納されるが、E)風速が 15m/sec程度以下になると釘の吸引が悪くなり使用しているクリーンルーム用掃除機のメインフィルタ交換時期やその他工具の不具合を知らせる為に誤って釘を抜き続ける事がない。

実際にはシールドサクション工具は F)風速20m/sec 程度で運転し続けている為に外部の風の影響を受けにくく確実に石綿を捕捉する。

途中に設けられた G)トラップボックスに釘や大半の固形物は捕捉され H)トラップボックスから掃除機までのホースは微粒子を含んだ空気となる為にホースの目詰まりがなく、メインフィルタの寿命も永くなる。 シールドサクション工具の吸入空気は周辺部はカバーされており、大半は上方より入る。

その為に Ⅰ)作業者の呼吸部位は上方より常に新鮮な空気が供給される。

これは、実証試験や屋内耐久試験でも裏づけられている。
その他、種々特徴があるが以上が主としたものである。



注)「研究開発成果書」「作業基準および手順」については、数値、データ等は、全く原本の記載と同じですが表現の一部を改変しております。

 


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